ご挨拶
第8回 日本安全運転医療学会学術集会
大会長 武原 格
(東京都リハビリテーション病院)
この度、第8回日本安全運転医療学会学術集会を2024年12月15日(日)に、東京の一橋講堂で開催させて頂くこととなりました。本学会は、障害や疾病をもつ方々が安全に交通社会へと復帰するための研究活動を行ってきた「障害者自動車運転研究会」、「運転と認知機能研究会」、「自動車運転再開とリハビリテーションに関する研究会」が中心となり発足させた日本安全運転・医療研究会(2017年)が基礎となっています。その後、多くの専門職の皆様のご協力のもと、5回の研究会を経て、2022年4月1日より研究会組織を学会化とし、第6回より日本安全運転医療学会学術集会となりました。
安全な交通社会の実現は、医療関係者のみで実現できるものではなく、自動車教習所や、自動車メーカー、自動車改造メーカー、工学系技術者など多くの方との連携・協力が必須です。医療分野では、医療関係者同士をつなぐ多職種連携が重要視されていますが、本学会の活動は、さらに多くの職種の方々との「社会横断的多職種連携」の場であると言えます。
これまでなんらかの疾病を患っている方や、障害をもっている方が、どのようにすれば安全に交通社会に復帰できるかという点について、学術的見地から研究・発表がなされてきました。脳損傷者の運転再開については、一定の成果が得られていると思われますが、今後も研究や啓発活動が必要な状況です。その他の疾病についても、同様に研究や啓発活動が必要です。また、近年、特に注目されている高齢者の運転に関しても法制度の変更に合わせて、その支援を柔軟に行うことが求められます。
しかし、その一方で残念ながら様々な理由から運転を継続することが困難となってしまう方も少なくありません。運転を断念された方々の買い物など生活を維持するための交通手段をどのように確保するのか、あるいは運転を継続できなくなることで社会的に孤立してしまうのをどのようにしたら防げるのかなどが喫緊の課題として浮上してきました。運転をやめることに伴う社会的孤立は、認知機能や身体機能に悪影響を及ぼすため、本学会が取り組むべき新たな課題と考えました。
今回の学術集会では、本学会の活動の軸である疾病や障害をもった方々への「安全運転再開支援」と、運転再開や運転継続が困難となった障害者および高齢者の「移動支援」の両面から知見を深めたいと考え、テーマを「外出を支えるまちづくり~安全な運転再開と移動手段の確保~」としました。これまで我々が取り組んできた安全運転のための研究や活動はもちろん、近年話題となっているライドシェアなどの移動支援についても本学術集会で考えていきたいと思っております。
多くの皆様にご参加頂き、様々な知見に触れ、相互の交流が深まりますこと、祈念いたしております。
どうぞよろしくお願い申し上げます。